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今年の初めから世間を騒がせているMaxPowerG3 PDS。遅れに遅れてやっとこ出荷された。私などはこのまま永遠に発売延期になるのではないか?と思ってしまったほどだ。
気になるのはその性能だ。効果を疑問視して様子見の人も多いようだ。私も、いっそのこともうすぐ値下がりが予想されるG3233DTに浮気してしまおうかとも思ったが、これから先はUSBやら1394やらG4やらのニューテクノロジーがかなり多く控えているので、愛着とつなぎの両方の線からMaxPowerG3PDSの購入に踏み切った。
マシンのパフォーマンスが変わればまずやりたくなるのがベンチマーク。しかし、単純なベンチはすでにあちこちでやり尽くされていて面白くもなんともない。そこで、ビデオキャプチャ性能に焦点を絞ってベンチマークを行ってみた。
絞ったとはいってもこれは結構バカにならない指標となりうる。ビデオキャプチャは、キャプチャデータの転送(AVボード)、圧縮(プロセッサ)、データ書き込み(SCSI)と、マシンの全能力を振り絞るハードな作業だ。
能書きはさておき、早速ベンチマークだ。マシンの条件は3種類。PPC601-84/42MHz
は今まで私が普段使っていた状態だ。次に、クロックアップチップをはずした状態のPPC750-240/160/30MHz。そしてマニュアルには「クロックアップチップははずすように」とかいてあったが、思いっきり無視してクロックアップを行った、PPC750-231/154/42MHz。42*6=252となってしまい、「250MHzをこえない」という機能拡張の設定のルールによって、231MHz(=42*5.5)とプロセッサスピードは落ちてしまっているが、バススピードが42MHzと速い分だけ入出力が多いハードな作業には有利だと思われる。
41MHzの水晶モジュールが入手できればたぶん最高の状態が得られると思うが、そんな半端な周波数のモジュールは入手が困難だろう。次善は40*6=240だが、手元にあった40MHzの水晶モジュールを無くしてしまった!ので、今回のベンチではおあずけである。入手でき次第追試を行ってみようと思う。
取り込みソフトには、今は亡きAvidVideoShopを使った。各条件で3秒以上取り込んで、フレームビューで3秒間(=90フレーム)に取り込めたフレーム数を数える。
取り込みサイズは3種類、圧縮方法も3種類。それぞれの条件でメモリ仮置きとHDダイレクトを測定する。
取り込みソースはTV放送を使った。残念ながら取り込みソースの条件を同じにそろえることはできなかった。厳密にはソースによって圧縮条件が異なってしまうが、ご勘弁願いたい。
取り込み用のHDはIBMのDORS-32160である。これくらいのクラスでも、既にSCSI-1のバス速度よりも速い転送能力を持っているので、DISKに関する結果はSCSIバスそのものの実力だと考えられる。
さて、まずは測定結果一覧である。あまり厳密な測定ではないので、数フレームくらいの差は誤差の範囲内と考えていただきたい。
3秒間(90F)で 取り込めたフレーム数 |
PPC601-84/84/42 |
PPC750-231/154/42 |
PPC750-240-160-30 | |||
memory |
disk |
memory |
disk |
memory |
disk | |
無圧縮 32000色 | ||||||
160*120 |
90 |
46 |
90 |
52 |
90 |
45 |
320*240 |
90 |
15 |
90 |
17 |
90 |
15 |
640*480 |
15 |
5 |
23 |
6 |
24 |
4 |
ビデオ 画質最高 | ||||||
160*120 |
90 |
57 |
90 |
68 |
90 |
67 |
320*240 |
28 |
19 |
67 |
31 |
79 |
34 |
640*480 |
7 |
4 |
16 |
9 |
17 |
7 |
ビデオ 画質最低 | ||||||
160*120 |
90 |
79 |
90 |
90 |
90 |
79 |
320*240 |
43 |
33 |
90 |
55 |
90 |
56 |
次に、この結果を考察してみる。
まず、無圧縮メモリ取り込みだ。これはひたすらAVカードからのデータをメモリに置いていくだけなので、AVカードの転送速度がそのまま反映されるはずだ。
無圧縮 32000色 |
PPC601-84/84/42 |
PPC750-231/154/42 |
PPC750-240-160-30 |
memory | |||
320*240 |
90 |
90 |
90 |
640*480 |
15 |
23 |
24 |
次に、無圧縮ディスクダイレクトの結果比較だ。これは、AVボード→MPUの転送に加えて、SCSIの転送が加わる。AVボードよりSCSIの方がはるかに遅いのでこれはほぼSCSI転送能力と見ることができる。
無圧縮 32000色 |
PPC601-84/84/42 |
PPC750-231/154/42 |
PPC750-240-160-30 |
disk direct | |||
160*120 |
46 |
52 |
45 |
320*240 |
15 |
17 |
15 |
640*480 |
5 |
6 |
4 |
圧縮が絡んでくると解釈が難しくなるが、いくつか特徴的なところをピックアップしてみよう。
|
PPC750-231/154/42 |
PPC750-240-160-30 |
ビデオ 画質最高 320*240 | ||
memory |
67 |
79 |
disk |
31 |
34 |
|
PPC750-231/154/42 |
PPC750-240-160-30 |
ビデオ 画質最低 - disk | ||
160*120 |
90 |
79 |
320*240 |
55 |
56 |
上の表は同じ圧縮条件で取り込み先をメモリとディスクで比較したもの、下の表は取り込みスクリーンサイズを比較したものである。
メモリへの圧縮有り取り込みは、単純にプロセッサクロックが速い方が断然有利である。250MHzでなら、ビデオ画質最高320*240でもフルフレームで取り込めるかもしれない。
ディスクが絡むと話は少々複雑になる。SCSIの転送速度に関していえば、システムクロックが重要である。しかし、圧縮に要する時間も結構バカにならないということがわかる。つまり、プロセッサスピードを上げることによるキャプチャ性能の向上の余地がまだあるということだ。
残念ながらG3をもってしても、320*240フルフレームディスク取り込みは実現できなかった。非常に残念なところである。しかし、以外にもプロセッサクロックの影響が結構大きいことがわかり、オーバークロックによる性能向上の期待がもてる。個人的には 40*6.5=260 や 43*6=258 あたりまでは、何とかいけるのではないかとにらんでいる。クロック倍率はINITがシステムクロックを元に計算して設定しているので、INITのパッチあてが必要になる。逆に言えばそれだけの改造で実現できるのだ。PPCの逆アセンブラでもあれば自分でやるところだが、あいにく手元にそんなものはない。設定クロックの上限を決めている定数を変えるだけなので、それほど大変ではないと思うのだが.....誰かやってみません?